介護タクシーで、定期的に通院している、女性の利用者の方がいました。その方は、軽い認知症がありました。

利用者様のことを考え、通院の日はいつも同じ女性の運転手にしています。

利用者の方が車に乗って出発すると、すぐに「私、家の鍵閉めたかしら?」と言います。運転手が「鍵を閉めているところを、私が見ていましたよ」と答えると「あっ、そう」と安心します。それが、毎回毎回、続きました。でも、そのうちに運転手の「鍵を閉めているところを、私が見ていましたよ」という言葉だけでは納得しなくなり、ソワソワするようになりました。運転手は、そこで考えて、その言葉がでると、家に戻り、鍵が閉まっている事を一緒に確認するようにしてみました。すると利用者の方は、すっかり落ち着いて出発することができるようになりました。

運転手は車庫を出発する時間を5分早くして、利用者の方の安心感を作りました。自分の出発前のコーヒーのホットタイムはなくなりましたが、利用者の方とのホットタイムができました。