最近、介護タクシーを利用していただくようになったご家族から、急に予約がはいりました。
ちょうど車が空いていたのでお引き受けし、お宅に伺いました。
おばあちゃまが認知症で、事情を聞くと、自宅にいるのに「家に帰りたい、家に帰りたい」と、ずっと、せがむそうです。「今、家にいるんですよ」と何回言い聞かせても、聞き入れません。
そこで、介護タクシーを利用して、少しドライブをしてみようと、家の方は考えたそうです。
さっそく、車に乗り込み近所を少しドライブし家に帰ったのですが、玄関の前に車を止めても「ここは私の家ではない」とかたくなにおっしゃいます。家族の方がイライラされているのがよくわかりました。
ご家族に「いつも大変なんですね」と声をかけると、「少し前までは歩けていたので、自分で裏の方からお部屋に直接出入りしてたんです。歩けなくなってから玄関にスロープを付けて出入りするようにしたんです」とのこと。
そこで、はっと思い、おばあちゃまの車いすを押し裏に回りました。段差があるのですが、この位なら私共には難なく介助できましたので、「お家に帰りましょうね」と言いながら慣れ親しんだ裏口からお部屋に入っていただきました。おばあちゃまは、すぐ納得されて機嫌も良くなりました。
しばらくして、ご家族に様子伺いの電話をすると「もう帰りたいと言わずに就寝しました」と、お喜びになっていました。